1982年1月にリリースされた「赤いスイートピー」は、春色の汽車に乗って海へ向かう若い男女の初々しい心理を描き、松田聖子の女性ファン層を爆発的に広げた金字塔です。それから6年の歳月を経た1988年5月、アルバム『Citron』の収録曲として世に送り出されたのが「続・赤いスイートピー」でした。
多くのリスナーが期待した「あの二人のハッピーエンド」とは異なり、松本隆が紡いだ詞世界は驚くほどリアリスティックでビタースイートな展開を迎えます。歌詞に描かれるのは、「四度目の春」に再び訪れた海辺のロケーションです。しかし、かつて「タバコの匂いのシャツにそっと寄りそう」関係を夢見ていた少女の目の前にいる彼は、本当に煙草を吸う大人へと変わり、二人の間には埋められない心理的な距離が生じていました。
かつての「知りあって半年」の初々しさは失われ、互いに別の道を歩み始めた現実を前に、主人公は「あの頃の純粋な気持ち」を静かに回想します。単なる失恋ソングにとどまらず、少女から大人の女性へと成長する過程で誰もが経験する「青春の喪失と受容」を描き切った点に、本作の圧倒的な深みがあります。