「そらんじる」という言葉のルーツを辿ると、平安時代の古語にまで行き着きます。もともとは「手元に何もない状態」「頼るべき書物や手本が目の前にない状態」を意味する副詞「空(そら)に」に、サ変動詞の「す(為)」が結合した「そらにす」が起源です。
これが時代を経て「そらんず」というサ変複合動詞へと変化し、さらに近世以降、現代語の上一段活用へと転じて「そらんじる」の形が定着しました。『源氏物語』や『徒然草』などの古典文学においても、「そらに覚ゆ(何も見ずに覚えている)」「そらに言ふ(見ないで口に出して言う)」といった表現が頻繁に用いられており、古くから日本人が重んじてきた「身体化された記憶の表出」を示す言葉であったことが分かります。