美空ひばりの息子として知られる加藤和也氏の出自には、加藤家の苦悩と愛情が複雑に絡み合っています。結論から言えば、和也氏は美空ひばりの実子ではなく、実弟・かとう哲也氏の実の息子(ひばりの甥)です。
和也氏の実母は、当時クラブ歌手として活動していた円山鈴子(本名・丸山鈴子)氏です。かとう哲也氏と円山鈴子氏の間に1971年(昭和46年)8月に誕生した和也氏でしたが、両親の私生活は波乱に満ちており、家庭環境は決して安定したものではありませんでした。特に父である哲也氏は法的なトラブルを抱え、養育に専念できる状況にありませんでした。
子供を産むことが叶わなかったひばりは、幼少期から和也氏を実の我が子のように慈しみ、溺愛しました。ひばりは関係者やテレビの特番インタビューにおいて「和也は私の命。この子がいてくれたから、私はどんな苦しい時も歌い続けてこられた」と語り、公私にわたり深い愛情を注ぎました。
そして1977年(昭和52年)、和也氏が7歳のときに美空ひばりと正式に養子縁組が成立します。実母である円山鈴子氏も、ひばりのもとで育てられることが息子の将来にとって最善であると判断し、身を引き、加藤家に託す道を選びました。実母としての葛藤は想像に難くありませんが、後年、和也氏自身も「母(ひばり)からは無条件の愛情をもらい、実母の存在についても適切な時期にきちんと説明を受けた。二人の母に心から感謝している」と語っています。