『薬屋のひとりごと』のビジュアル人気を世界規模に押し上げた決定打は、アニメーション制作を担当したTOHO animation STUDIO×OLM、そしてキャラクターデザイン・総作画監督を務めた中谷友紀子氏の手腕です。
小説の表紙のような一枚絵の芸術性と、漫画としての動的なエンタメ性を、アニメーションという「秒間24コマの世界」でどう再現するか。この至難の課題に対し、アニメ版デザインチームは以下のブレイクスルーを成し遂げました。
まず、猫猫の造形においては、しのとうこ氏が描く「そばかすがあり、飾り気のない実利的な少女」のベースを維持しながら、ねこクラゲ氏が得意とする「表情のダイナミズム」を取り入れました。これにより、普段の冷徹な薬草オタクぶりと、園遊会などで化粧を施された際に見せる息をのむような美しさのコントラストが、動画として劇的なカタルシスを生み出しています。
さらに、壬氏のビジュアル演出においては、「天女の如き美貌」を表現するために、画面全体に独自のグラデーションと光彩エフェクトを適用。原作の行間にある「芳しい香り」や「周囲の人間を無自覚に狂わせる妖艶さ」を視覚言語へ見事に翻訳し、国内外のアニメアワードでキャラクターデザイン部門の賞を総なめにする快挙を達成しました。