日本におけるこの現象の原点は、1980年代の空前絶後のスキーブームにまで遡る。1987年公開の映画『私をスキーに連れてって』は、雪山を単なるスポーツの場から「ドラマチックな恋の舞台」へと劇的に塗り替えた。同作に代表されるロマンチック・コメディの金字塔は、若者たちの冬の過ごし方を決定づけたと言ってよい。
90年代に入ると、株式会社アルペンによる印象的なTVコマーシャルが冬の風物詩となった。「冬の女王」と称された広瀬香美のメガヒット曲『ロマンスの神様』が街中に響き渡り、東日本旅客鉄道(JR東日本)のキャンペーンポスターが駅を彩る。雪山に行けば運命の出会いがある――そんな文化的刷り込みが、日本人の無意識下に強固に形成されていった背景には、メディアとマーケティングの緻密な仕掛けがあった。