初夏から初秋にかけて草丈の高い草原に足を踏み入れると、ひときわ目立つ長大なバッタに出会います。これが学名Acrida cinerea、バッタ科ショウリョウバッタ属に分類されるショウリョウバッタです。日本のバッタ目の中で最大種であり、尖った円錐形の頭部と刀のような触角が視覚的なトレードマークとなっています。
野外観察の現場で最も頻発する混同が、同じく頭部が尖った形状を持つ「オンブバッタ」との見分けです。家庭菜園のシソやキク科の葉に小さなバッタが2匹重なっている光景を見て「ショウリョウバッタの親子」と呼ぶ声が散見されますが、これは分類学上まったく別の科に属するオンブバッタの雌雄ペアです。
ショウリョウバッタとオンブバッタの違いにおける最たる識別ポイントは、体積と後脚の長さです。成熟したショウリョウバッタのメスは体長が80mm前後に達し、捕獲時に手で握ると指の間から大きくはみ出るほどの重量感があります。対するオンブバッタのメスは40mm程度にとどまり、ショウリョウバッタのオスよりもさらに一回り小さく、丸みを帯びたフォルムをしています。