「走るほうが消費カロリーが高いなら、全員走ればいいのでは?」と思いがちですが、話はそう単純ではありません。ここで知っておくべき決定的な違いが、有酸素運動におけるダイエット効率と「燃焼されるエネルギーの比率」です。
人間の体は、運動強度が低いときは「脂質」を優先してエネルギーに変え、強度が高くなるにつれて即効性のある「糖質」を優先して消費します。運動中の体脂肪を落とす心拍数とペースの研究において、脂肪が最も効率よく使われる領域は「最大心拍数の50〜65%(Fatmaxゾーン)」と定義されています。
息が上がらず隣の人と笑顔で会話できるウォーキングは、まさにこのゾーンに収まりやすく、運動中に消費されるエネルギーの約50%近くが体脂肪由来となります。一方、息が切れるペースのランニングでは、脂肪燃焼比率は30%前後に低下し、糖質が多く消費されます。
しかし、ここで見落としてはならないのが「割合(パーセント)」と「絶対量(グラム)」の違いです。
・ウォーキング(30分):総消費120kcal × 脂肪比率50% = 約60kcal分の脂肪燃焼
・ランニング(30分):総消費280kcal × 脂肪比率30% = 約84kcal分の脂肪燃焼
脂肪の使われる比率だけを見れば歩くほうが優秀に見えますが、分母となる総消費カロリーが大きいため、実際に削り取られる体脂肪の絶対量は走るほうが多くなります。さらに、走るような高〜中強度運動は、運動終了後も数時間にわたって代謝が高い状態が続く「EPOC(運動後過剰酸素消費)」を引き起こし、内臓脂肪燃焼メカニズムを強力に刺激します。