SNSの通知音が鳴り響き、他人の言葉に心が擦り切れそうになる日々。そんなとき、心の中に一本の太い軸を通す「マイ・漢字」を持つことが密かなブームとなっている。例えば「静」。どれほど周囲が騒がしくとも、自分の中心だけは静寂を保つという誓い。「整」。乱れがちな生活や思考のノイズをひとつずつ整えていく決意。たった一字を思い浮かべるだけで、乱れた呼吸がすっと整う感覚を味わったことはないだろうか。
言葉の乱舞に疲れた現代人にとって、漢字はもっとも濃密で、もっとも無駄のないメンタルケアのツールと言えるかもしれない。自らの価値観に合致する一字を選ぶプロセスそのものが、自分自身の内面と深く対話する贅沢な時間となる。