ハンドボールにおいてボールを片手で自在に保持・操作するグリップ力は、パスやシュートの精度を根底から支える要素です。天然樹脂を主成分とする松やには極めて高い粘着力を発揮するものの、体育館の床に落ちると皮膜を作り、埃や靴底のゴムを巻き込んで頑固な「黒ずみ汚れ」へと変化します。
公営体育館や学校施設の管理者への取材によると、松やにによるウレタン塗装の摩耗や、他の室内競技(バスケットボール、バレーボール、バドミントンなど)の選手が滑って転倒する事故リスクが問題視されてきました。専用の灯油系クリーナーによる剥離作業には膨大な人件費と時間がかかり、結果として「松やに全面禁止(違反時は利用停止)」という強硬措置に踏み切る施設が相次いだのです。
そこで台頭したのが、指先だけにピンポイントで粘着層を形成できる両面テープでした。ボールに過度な粘着物を残さず、コートへの落下汚損も最小限に抑えられることから、施設側と競技側の双方が妥協点を見出せる現実的な選択肢として急速に普及していきました。