自動車や家庭用機器のトラブル現場において、最も危険でありながら後を絶たないのが「切れたヒューズを針金やアルミホイルでバイパスする」、あるいは「すぐ切れるからといって10Aのヒューズを15Aや20Aに増量する」という誤った対処法です。
ヒューズは回路の中で「最も意図的に弱く作られている部品」です。人間で言えば、危険を知らせる痛みのアラートに相当します。ここを針金で直結したり許容アンペア数を引き上げたりすると、本来ヒューズが溶断することで守られるはずだった配線や機器本体が直接ジュウル熱に晒されます。
配線が発熱・溶融して車内や屋内に有毒ガスが充満し、最悪の場合は車両火災や家屋の全焼事故へと発展します。「ヒューズが頻繁に切れる」という現象は、ヒューズの耐久性不足ではなく、回路のどこかに致命的なショートや異常負荷が存在しているという明白な警告です。原因を取り除かないまま容量を上げる行為は、火災報知器のベルがうるさいからと電池を抜き取る行為と何ら変わりません。