副業がアルバイトなどの給与所得である場合、住民税以外にもう一つ、回避困難な物理的トラップが存在します。それが社会保険の二重加入手続きです。
副業先での勤務時間が一定基準(週所定労働時間20時間以上、月額賃金8.8万円以上など)を満たすと、副業先でも健康保険や厚生年金の加入義務が生じます。二重加入となった場合、労働者自身が年金事務所へ「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出しなければなりません。この届出が処理されると、日本年金機構から主たる事業所(本業)と従たる事業所(副業)の双方へ、按分された保険料額が通知されます。この通知が本業の人事部に届いた時点で、副業の事実を弁解する余地は完全に失われます。
また、就業規則の副業禁止規定を巡る法的リスクも無視できません。日本国憲法第22条(職業選択の自由)を根拠に、勤務時間外の副業は原則として自由であるとする裁判例が多数派を占めます。しかし、競業避止義務違反(競合他社での副業)、信用失墜行為、本業に支障をきたす過重労働が認められた場合、懲戒解雇や減給処分が法的に有効と判断されるリスクがあります。
とりわけ厳格なのが公務員の副業制限と例外です。国家公務員法第103条・104条、地方公務員法第38条によって営利企業への従事は厳格に禁じられています。ただし、実家の家業(一定規模以下の農業や不動産賃貸業)、執筆・講演活動、地域貢献活動(公益的な特定活動)など、事前に任命権者の許可を得ることで例外的に認められる領域も存在します。公務員が無許可で営利副業を行った場合、一般企業の就業規則違反とは比較にならない重い懲戒処分(停職や免職)に直結するため、安易な自己判断は禁物です。