安藤サクラの父親は、日本を代表する名優であり映画監督としても数々の受賞歴を誇る奥田瑛二。そして母親は、鋭い洞察力と温かな語り口で知られるエッセイストでタレントの安藤和津である。このふたりが築いた家庭は、まさに日常そのものがドラマであり、表現の実験場でもあった。
家庭内における教育方針は、型破りかつ徹底した自主性の尊重だった。机の上のテストの点数で子どもを評価することは一切なく、「自分の目で見て、感じたことを自分の言葉で語る」ことだけが求められたという。幼少期の安藤サクラは、父の破天荒な情熱と、母の現実的かつ深い愛情という対照的なふたつの視点を浴びて育った。失敗しても叱られない。ただし、嘘をつくことや自分の気持ちをごまかすことに対しては厳しかった。この幼少期の対話の積み重ねが、役柄に嘘のないリアリティを吹き込む彼女の原点となっている。