カメラの前に並んだ二人の間には、独特の緊張感と、時を経て熟成された深いリスペクトが漂っていた。かつて2010年大会直前、フリーキックのキッカーを巡って繰り広げられた無言のせめぎ合い。あの張り詰めた空気の真意が、当事者たちの口から静かに解き明かされていく。
「あの時、圭佑が何を考えていたのかは分かっていたよ」と中村俊輔が穏やかに笑えば、本田圭佑は「俊さんの背中を見て、どうやってこの壁を越えるかだけを考えていた」と即座に応じる。衝突を恐れず個を主張した若き日の本田と、チームの重心として苦悩しながら技術を磨き続けた中村。互いのプライドがぶつかり合った激闘の舞台裏は、生半可な仲良し集団では決して到達できない領域の厳しさを物語っていた。