ネットニュースやSNS上で油木ダムの話題がトレンド入りする際、しばしば極端な誤解や不安を煽る投稿が見受けられます。代表的な2つの盲点を是正しておきましょう。
誤解①:「貯水率50%を下回るとすぐに水道が止まる?」
これは完全な誤解です。前述の通り、貯水率50%は「水資源の有効活用に向けた意識共有と自主節水」の段階であり、配水圧の調整すら行われないケースがほとんどです。北九州市や京築地域の近代的な水道網は、油木ダム単体に依存しているわけではなく、近隣水系(伊良原ダムや遠賀川水系など)とのバックアップ体制が整備されています。直ちに生活用水が断たれることはありません。
誤解②:「梅雨前なのに貯水率が70%しかないのは渇水の兆候?」
これもダム運用の仕組みを知らないことによる誤認です。日本の多目的ダムでは、梅雨や台風による豪雨を貯留して下流の洪水を防ぐため、6月中旬から10月上旬にかけてあらかじめ水位を低く保つ「洪水期制限水位(夏期制限水位)」が設定されています。つまり、春先から初夏にかけて意図的に貯水量を落としている場合があり、これは渇水ではなく適切な防災運用の結果です。
【プロの結論】水資源リスクに直面した際の備えと判断基準
渇水や洪水という自然の猛威に対して、個人や事業者が取るべき行動基準をまとめます。漠然とした不安に流されず、リスクの大きさに応じた適切な対応を取ることが肝要です。
▼ 情報を確認し、冷静に行動すべき人(一般家庭・オフィス):
- 貯水率が40%を割り込んだ段階で、風呂の残り湯の再利用や節水コマの設置など「無理のない日常節水」を開始する。
- 災害用備蓄水(1人1日3リットル×3日分)の消費期限を確認し、万が一の突発的断水に備える。
- SNSの未確認情報に惑わされず、自治体の公式広報(市報・防災無線・公式LINE)を定点観測する。
▼ 厳戒態勢と事業継続計画(BCP)を発動すべき人(農業・飲食・工業関係者):
- 貯水率30%未満・第1次取水制限発令時点で、取水割り当ての確認や代替水源(地下水・井戸水・受水槽)の稼働点検を実施。
- 添田町の降雨予報と週間天気図を照合し、まとまった降雨が見込めない場合は前倒しで節水型オペレーションに移行する。