かつて、公の場での「発言の撤回」は、政治的・社会的な敗北を意味していた。頭を下げ、釈明会見を開き、ひたすら嵐が過ぎ去るのを待つのが定石だった。しかし、令和の今、そのルールは書き換えられつつある。非難された側が逆に「言葉を取り消せ」と迫る構図は、攻守の逆転を印象づける。
ソーシャルメディアのアルゴリズムは、対立を好む。穏やかな対話よりも、激しい衝突の方がインプレッションを稼げるからだ。結果として、私たちはより過激な言葉、よりドラマチックな対立を求めるように仕向けられている。今回の騒動は、そのシステムに見事にハメられた結果とも言えるだろう。