Web上の医療相談掲示板や知恵袋、救急症例報告には、頭部打撲を甘く見たことによる後悔の声が数多く記録されています。
ある40代男性は、会社の階段で足を滑らせて後頭部を強打した際の体験を次のように手記に記しています。
「強打した直後は激痛があったものの、意識ははっきりしており、大きなたんこぶができたので『血が外に出てくれたから平気だろう』と自己判断しました。しかし、翌朝起きると激しい吐き気と視界のかすみを感じ、慌てて脳神経外科へ駆け込んだところ、軽度の外傷性クモ膜下出血と診断され即日入院となりました。医師から『あと数時間受診が遅れていたら意識障害を起こしていた可能性がある』と告げられ、背筋が凍りました」
また、70代の母親を持つ女性の投稿では、典型的な慢性硬膜下血腫の見落とし事例が語られています。
「母が庭の手入れ中に尻もちをついて後頭部を軽く打ちました。その時は『痛かったわ』と笑っていたのですが、約1ヶ月半後、急にろれつが回らなくなり、トイレの失敗が増えました。近所の内科で『加齢による認知機能の低下』と言われかけましたが、念のため脳神経外科でCTを撮ってもらったところ、頭蓋骨の半分近くに真っ黒な血腫がたまっていました。手術で血を抜いてもらうと、翌日には以前と同じように明瞭に話せるようになりました。あの時CTを撮っていなければと思うとゾッとします」
これらの事例が示すのは、本人の「大丈夫」という主観的な感覚はあてにならないという現実です。特に受傷直後のアドレナリンが出ている状態では、痛みを過小評価しがちです。周囲にいる家族や同僚が客観的な視点で観察し、受診を促す環境作りが欠かせません。