「綴合の錬金術師」ショウ・タッカーというキャラクターの存在意義は、単なる悪役の域を遥かに凌駕している。彼の動機は世界征服でも復讐でもない。ただ自らの身分資格を維持し、研究者としての評価を得たいという、あまりにも矮小で身勝手な生存本能に過ぎなかった。
「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」という名台詞に象徴される冷酷さは、人間が狂気に陥るプロセスのリアリティを恐怖とともに描き出している。2年前に妻を合成獣の材料にし、今度は自分の娘と犬を犠牲にした。成果主義に追いつめられた男の末路は、科学技術や知識を持つ者が倫理を失ったときにどれほど容易に怪物を生み出すかを証明してみせた。彼が抱いていた家族への愛と、自らの業を秤にかけたときのエゴの肥大化こそが、真の恐怖の源泉である。