目黒で連日満席の「立ち飲みビストロ シンサンテ」が熱烈な支持を集める理由とは何なのでしょうか。その本質は、単なる「安くて美味しい居酒屋」という枠組みを遥かに超えた、料理の技術的完成度と空間作りの計算し尽くされた設計にあります。
オーナーシェフは1976年新潟県生まれ。「ビストロ コックアジル」や「ラ・マリーヌ」といった名門フレンチでクラシックの基礎を徹底的に叩き込まれた後、イタリアンや和食の世界、さらには「牛角」などを展開する大手外食チェーン(株)レインズインターナショナルで商品開発の第一線を牽引してきた異色の経歴を持ちます。2007年に創業した「立飲ビストロシン」から始まった快進撃は、2009年の2号店展開を経て、2017年に現店舗「立飲・ビストロシン サンテ」へと結実しました。
食のプロフェッショナルが培った「本格レストランの調理技法」と「大衆の舌を捉えるマーケティング感覚」が融合した結果、立ち飲みというラフなスタイルからは想像もつかない重厚なソースワークと鮮烈な火入れが実現しています。厨房内で一切の妥協なく仕込まれるテリーヌや煮込み料理の数々は、白金や銀座の高級ビストロで供されても何ら遜色がないレベルです。それを気取らないハイカウンターで、しかも1皿数百円から千円台前半という値付けで味わえるギャップこそが、食通たちを熱狂させる最大のトリガーとなっています。