ネット上のQ&Aサイトや知恵袋などでは、「アメリカ先住民の部族には本当に『嘘をつかない』という格言があるのか?」「英語でも決まり文句として使われているのか?」といった疑問が頻繁に投稿されています。結論から言えば、アメリカ先住民の伝統的な格言でもなければ、英語圏で広く用いられる慣用句でもありません。
英語圏の映画・文学アーカイブを調査すると、該当するフレーズは以下のような不完全なブロークン・イングリッシュ(ハリウッド・インディアン・イングリッシュ)として脚本上に現れます。
「Indian do not lie.」あるいは「White man speak with forked tongue.」
英語圏においてこれらは、映画ファンが古典的なB級西部劇の類型的なセリフをパロディ化して真似るフレーズであって、日常的な英語表現として「絶対に嘘をつかない誠実な人」という意味で使われることはありません。むしろ、白人脚本家が先住民を「幼稚で知能の低い存在」として観客に直感させるために創作した、言語学的な差別記号(ハリウッド・ピジン)に過ぎないのです。