「アメリカの州は52あると思っていた」という証言は、SNSやQ&Aサイトでも頻繁に見受けられます。教育現場や雑談の場でも「先生が52と言っていた」「何かのゲームで52と覚えた」という声が根強く残っています。調査を進めると、この錯覚には人間の認知心理と文化的な記憶の刷り込みが複雑に絡み合っていることが分かります。
最大の要因として挙げられるのが、「トランプのカード枚数(ジョーカーを除いた52枚)」との無意識の混同です。日常生活の中で「1年間は52週」「トランプは52枚」という数字のまとまりに慣れ親しんでいる脳が、「アメリカの広大な国土とたくさんの州」という漠然としたイメージに52という親密な数字を当てはめてしまう認知バイアスが生じています。
さらに決定的なのが、「50州」に別の行政区画を無意識に足し算してしまう構造です。「アメリカ50州 + ワシントンD.C. = 51」、あるいは「アメリカ50州 + ワシントンD.C. + プエルトリコ = 52」というように、州以外の主要地域を別枠でカウントした結果、51や52という数字が記憶に定着してしまうのです。特にニュースなどで「首都ワシントン」や海外領土の存在を耳にする機会が多い人ほど、知識の掛け違いからこの計算トラップに陥りやすくなります。