カウンセリング現場や各種相談プラットフォームに寄せられる相談の約4割が、「冷め切っているのに別れられない」という恋愛における情とは何かをめぐる苦悩です。多くの人が「もう未来がない」と頭では理解していながら、なぜ情に流される理由に屈してしまうのでしょうか。
男女の情の心理学を紐解くと、そこには行動経済学でいう「サンクコスト(埋没費用)効果」が色濃く現れています。これまで相手に費やした時間、お金、感情エネルギーが大きければ大きいほど、脳は「いま別れたらこれまでの投資がすべて無駄になる」と錯覚を起こします。その痛みを避けるために、「でも、あの人にも良いところがある」「昔は優しかった」と都合のいい記憶を引っ張り出し、関係を延命させてしまうのです。
また、性別による傾向の違いも現場の取材から浮き彫りになっています。男性は「責任感や庇護責任」としての情に縛られやすく、「相手を泣かせて悪者になりたくない」という社会的評価の防衛が働きがちです。一方で女性は「共有体験の重みや身体的・心理的慣れ」としての情が強く、「ゼロから新しい関係を築くコスト」への不安から現状維持を選択する傾向が見られます。