この危機的状況に対し、長年現場でクマの調査・保護活動を続けてきた専門家組織「日本クマネットワーク」の現場研究者たちは強い警鐘を鳴らしている。長年にわたりクマの生態調査と人身被害防止に捧げてきた米田一彦氏は、ツキノワグマの学習能力の高さに注意を促す。
米田一彦氏らの分析によれば、ツキノワグマは優れた記憶力を持ち、成功体験を強く学習する。万が一、人間を襲って容易に倒せると学習した場合、その個体にとって人間は「極めて無防備で足が遅く、高栄養な食料」として認識が書き換えられてしまう。そのため、人身事故を起こした個体の早期特定と迅速な駆除を行わなければ、同一個体による連続襲撃や周辺個体への行動伝播を防ぐことは不可能だと指摘する。