大田区のこの一帯は、日本資本主義の父と称される渋沢栄一が構想した「田園都市」の思想が色濃く反映された歴史を持つ。自然と都市機能が調和した理想郷を目指した開発スピリットは、今も長原周辺のゆとりある区画割りに受け継がれている。
歴史の厚みの上に現在進行形で重ねられているのが、「東急池上線沿線エリアリノベーションプロジェクト」をはじめとする都市計画・地域開発の取り組みだ。昔ながらの木造建築や古き良き商店を単に取り壊すのではなく、意匠を活かしながら現代的なカフェやシェアスペースへと生まれ変わらせる試みが各所で進んでいる。
行政と民間事業者が協調し、画一的な大規模再開発とは一線を画す「手触り感のある街並みの更新」を進めるこのアプローチは、新旧住民の緩やかな交流を生み出し、街全体の魅力を着実に底上げしている。