「80歳まで受給を遅らせれば、毎月の年金額が80%以上も増える」——この数字だけを見れば魅力的にも思える。しかし、経済やファイナンシャルプランニングの専門家は「その数字に飛びつくのは極めて危険だ」と強い警鐘を鳴らす。
最大のリスクは、加速する物価高とインフレ率だ。年金額の改定には「マクロ経済スライド」が適用されるため、物価が上昇しても年金の伸び率は抑えられ、実質的な購買力は低下する。さらに、健康寿命(日常的に介護を必要とせず自立した生活ができる期間)の平均は男性で約72歳、女性で約75歳だ。80歳まで受給を我慢した結果、満足に使う時間もなく病に倒れるリスクを考慮すれば、受給繰り下げが必ずしも「得」になるとは限らない。