小金井ストーカー刺傷事件が社会に投げかけた最大の衝撃の一つは、警察の初期対応における構造的欠陥であった。冨田さんは襲撃を受ける前、つきまといやSNS上での脅迫的な書き込みについて、警視庁武蔵野警察署をはじめとする関係機関に度重なる相談を行っていた。しかし、当時の運用ではこれらのリスクが即座の身辺保護や緊急逮捕に結びつく高度な危険性として評価されなかった。
後に行われた検証において、警視庁は相談履歴の共有不足や、ストーカー事案における危険度評価の甘さを認め、組織的な対応体制の見直しを発表した。事件を防ぐことができたのではないかという検証は、警察内部の意識改革を促すとともに、市民からのSOSをいかに迅速かつ客観的に評価するかという重い宿題を遺した。