日本の映像史において、ヤクザの着こなしを文化として定着させた最大の功労者は東映だ。昭和の『仁義なき戦い』シリーズに始まり、泥臭くも生き様をぶつけ合う男たちの姿は全国の観客を魅了した。やがて時代が下り、90年代に花開いたVシネマのムーブメントは、より直感的でエッジの効いたスタイルを確立する。Vシネマのスターたちが着用したダブルのスーツや深めのVゾーンは、独自のカルト的人気を誇った。
スクリーンの中で繰り広げられる抗争劇は、衣装の歴史でもあった。着物から洋装への完全な移行、和洋折衷の怪しさから洗練されたモダンウェアへの変貌。東映が開拓した極道映画の衣装美学は、ビデオカセットの時代を経て今もなお、クリエイターたちのインスピレーションの源泉であり続けている。