スルメイカ最大の魅力といえば、何といっても濃厚な肝(ゴロ)の存在だろう。酒の肴として酒徒を唸らせてきた「いかゴロ焼き」だが、家で作ると生臭みが残ってしまうという声も多い。だが、正しい処理さえ施せば、その生臭さは一瞬で極上の芳醇さへと生まれ変わる。
まず、胴体から丁寧に引き抜いた肝に塩を強めに振り、15分ほど置く。出てきた水分をきれいに洗い流すことで、生臭みの原因となる水分と雑味が外へ排出される。この基本技は、名作グルメ漫画『美味しんぼ』でも究極の味覚として描かれたイカ調理の神髄だ。処理した肝を包丁で叩き、みりんと少量の味噌、ニンニクのすりおろしを混ぜ合わせる。
香ばしく炒めた身とゲソに、この特製ゴロソースを最後に絡め、鍋肌から醤油を焦がすように回しかける。火を止める直前の数秒間で立ち上る香気はまさに絶品。伝統的な和食の知恵が詰まったこの一皿は、ひと口食べれば箸が止まらなくなるほどの深みを持っている。