南木曽町は木曽谷の南端に位置し、木曽漆器や木工ろくろ細工といった手仕事の町として知られる。冷え込みが厳しい冬、職人や農家の女性たちは寒さに震えながらも指先を細かく動かさねばならなかった。そこで生まれたのが「南木曽ねこ」だ。
袖があると作業の邪魔になり、前身頃があると火を使う作業で危険が生じる。それらを大胆に削ぎ落とし、冷えを感じやすい背中と肩甲骨だけを的確に覆う構造が完成した。「猫のように丸まって温かい」「背負子を背負う際の当て布(ねこだ)が転じた」など名前の由来には諸説あるが、一度背負えばその合理性に誰もが唸る。軽くて肩が凝らず、着たまま布団に入れるほどの柔軟さを備えている。