真壁氏を語るうえで欠かせないのが、五輪2大会連続金メダリストの羽生結弦氏との関係性です。羽生氏がシニアに転向した直後から、真壁氏はその類まれな才能を見抜き、Fantasy on Iceの象徴的な存在として招聘し続けました。羽生氏自身も自著や取材現場で、厳しいリハビリ期間や競技生活の合間に同ショーへの出演を最優先にしてきた経緯を明かしています。
真壁氏が著書『氷上の創造者たち』などで語った現場の回顧録からは、単なるビジネスパートナーを超えた、表現者とプロデューサーとしての深い魂のぶつかり合いが見て取れます。羽生氏が求める音響への極限までのこだわりや照明のタイミング、アーティストとのセッションに対し、真壁氏は一切の妥協を許さずに制作環境を整えてきました。
一方で、羽生氏がプロ転向を果たし、自ら単独アイスショー(『GIFT』や『RE_PRAY』など)を企画・演出するようになって以降、ファンの間では「FaOIとの距離感が変わったのではないか」「プロデューサー陣との間に方向性の違いが生じたのか」といった憶測が飛び交いました。しかし、これは表現者としての自立と興行スタイルの分化に過ぎず、双方が築き上げてきた歴史と敬意は揺るぎないものであることが、近年の関係者インタビューからも確認できます。