モンキー・D・ドラゴンを語る上で欠かせないのが、作中屈指の特異な家族関係です。海軍の最高戦力として数々の伝説を残した「海軍の英雄」モンキー・D・ガープを父に持ち、のちに四皇へと上り詰めるモンキー・D・ルフィを息子に持つという、三大勢力の結節点に位置しています。
海賊たちが富や名声、ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)を求めて海へ出るのに対し、ドラゴンが率いる革命軍の標的は海賊でも一般市民でもなく、世界を牛耳る「天竜人(世界貴族)」とそれを擁護する世界政府の支配構造そのものです。海賊がどれほど凶悪であっても国家の根幹を直接覆すことは稀ですが、ドラゴンは現実に複数の加盟国で民衆蜂起を成功させ、王政を打倒してきました。支配層にとって体制を根底から揺るがす最大の脅威であるからこそ、海賊王ゴールド・ロジャーとは異なる文脈で「世界最悪の犯罪者」という極刑指定を受けています。
ルフィとの関係においては、東の海(イーストブルー)のローグタウンでスモーカーに捕らえられたルフィを突如現れて救出した場面が象徴的です。親子の名乗りを上げることもなく、ただ「男の船出を邪魔する理由がどこにある」と言い放ち背中を押した姿は、血縁の情に流されず個人の意志を尊重するドラゴンの哲学を如実に示しています。