上の親知らずを語るうえで避けて通れない専門的な注意点が、副鼻腔の一つである「上顎洞(じょうがくどう)」との位置関係です。上顎の奥歯の根元の上には、鼻へと繋がる大きな空洞(上顎洞)が広がっています。
人によっては親知らずの歯根が上顎洞の底に近接している、あるいは骨の壁を突き抜けて洞内に達している構造を持っています。この状態で無理な抜歯を行ったり、重度の虫歯・歯周病を放置したりすると、口腔と上顎洞が交通してしまい、細菌が入り込んで「歯性上顎洞炎(鼻づまり、悪臭、顔面痛などを伴う蓄膿症の一種)」を引き起こす危険性があります。
安全に処置を行うため、歯科医院では歯科用CT(3次元立体画像)を用いて歯根の形状や上顎洞との距離をミリ単位で事前に診断します。解剖学的リスクが高いと判断された場合は、口腔外科の専門医が在籍する総合病院等と連携して処置が進められます。