パラオの町を歩けば、驚きの単語に出会う。「アタマタマゴ」は頭が混乱した状態を指し、「アジジョウブ」は美味しいことを意味する。冷たいビールを頼む時の合図は「アサヒ」だ。乾杯の定番ブランドが、そのまま飲み物の代名詞として定着した典型例と言える。
この現象に注目するのが言語学の研究者たちだ。異なる言語同士が接触した際、外来語が独自の発展を遂げるプロセスを示す貴重な実例だからだ。現地の人々は元の日本語をそのまま使うのではなく、自分たちの暮らしや感情に合わせて巧みにアレンジを加えた。生き生きとした言葉の生態系が、ここには存在する。