難読姓である「四月一日」が2000年代以降に若年層や幅広い世代へ急速に浸透した最大の契機は、創作集団CLAMPによる大ヒット漫画・アニメ作品『xxxHOLiC(ホリック)』の主人公「四月一日君尋(わたぬき きみひろ)」の存在です。
作中では、アヤカシを引き寄せてしまう体質を持つ主人公のアイデンティティとしてこの名字が象徴的に扱われました。読者は作品を通じて「四月一日=わたぬき」という難解な読み方を自然と記憶することになり、サブカルチャー発で伝統的な難読姓の認知度が全国区へと押し上げられた代表的事例といえます。
また、洋の東西を問わず「4月1日」は特別な意味を持ちます。欧米発祥のエイプリルフール(万愚節)は、16世紀のフランスでグレゴリオ暦が導入された際に「4月1日を旧年の名残として祝った人々へのからかい」から始まったとする説が有力です。西洋では「嘘をついて良い日」、日本では「綿を抜いて季節を改める日」として、偶然にも同じ日付が生活の転換点・特別な節目として扱われてきた事実は、文化比較の観点からも非常に興味深い巡り合わせです。