「加工黒糖は体に悪い」という噂が広まった発端をたどると、原材料に対する不信感と添加物への強いアレルギー反応に行き着きます。加工黒糖の主原料として使われるのは、輸入された原料糖(粗糖)や糖蜜、そして一部の黒糖です。サトウキビの搾り汁だけを愚直に煮詰める純黒糖と比べ、「人工的にブレンドされた甘味料」という印象を持たれがちな点が、危険視される第一の土壌を作りました。
さらに火に油を注いでいるのが、製品によって配合される着色料や香料の存在です。特に一部の安価な製品で使用されるカラメル色素に対しては、製造工程で生じる微量の副産物(4-メチルイミダゾール)の発がん性リスクを取り沙汰する声がネットコミュニティを中心に根強く存在します。これらが断片的な情報として拡散された結果、「加工黒糖=危険な化学調合品」という極端な言説が独り歩きを始めました。
しかし、厚生労働省および食品安全委員会の基準に基づけば、食品添加物として認可されているカラメル色素が通常の使用量で直接的な健康被害を及ぼす科学的証拠はありません。加工黒糖の実態は「粗糖と糖蜜をブレンドして黒糖に近い風味と色合いを再現した加工品」であり、口にしたからといって急性の中毒や病気を引き起こすような危険物ではないのが実情です。噂の背後にあるのは、添加物そのものの毒性というよりも、「自然食品だと思い込んで買ったら人工的な調整が施されていた」という消費者の心理的裏切り感だと言えます。