香山園の往時を知る地元住民や、かつて茶会・散策で訪れた人々の記憶には、どのような姿が残されているのでしょうか。地域コミュニティや過去の来園記録を調査すると、深い愛着と惜別の声が数多く見受けられます。
長年鶴川に暮らす70代女性は当時の様子を次のように振り返ります。
「小田急線の駅から歩いてすぐの場所に、あれほど静寂に包まれた別天地があるのは町の誇りでした。春のツツジや秋の紅葉の時期には、松風亭でお抹茶をいただきながら池の鯉を眺めるのが恒例行事でした。閉館の知らせを聞いたときは本当に寂しかったですが、木々が切り倒されて高層マンションにならなかったことだけは救いだと感じています」
一方、ネット上やSNSでは「立ち入り禁止の看板があるが中は廃墟なのか」「心霊スポットのような扱いをされているのではないか」といった根拠のない憶測が一部で見られることも事実です。しかし現地取材で確認できる実態は、治安上の問題や不法侵入を防ぐための厳重な管理が敷かれており、歴史的緑地としての品格が保たれています。