「毎日金利が入るのだから、多少為替が下がっても長期保有すればいつかプラスになるはずだ」――。この甘い目論見こそが、トルコリラスワップ投資において多くの退場者を生み出してきた最大の罠です。
トルコリラスワップ投資の失敗理由を掘り下げると、構造的な欠陥は「金利収入の積算スピード」を「元本毀損のスピード」が遥かに上回るという一点に集約されます。
具体的な数字でシミュレーションしてみましょう。例えば、1リラ=5.0円のときに100万通貨を購入したとします。投下した為替元本は500万円です。年間で得られるスワップポイントが約100万円だと仮定すると、年利回りとしては驚異的な20%に達します。
ところが、もし1年後にトルコリラが1リラ=3.5円まで下落した場合、保有ポジションの為替評価額は350万円となり、150万円の為替差損(キャピタルロス)が発生します。年間のスワップ利益100万円を合算しても、トータル収支はマイナス50万円の赤字です。高金利通貨特有の下落トレンドは、数年単位で複利計算を吹き飛ばす破壊力を持っています。
さらに恐ろしいのが、利益を急ぐ投資家が陥る「スワップ再投資の複利運用」です。毎日付与されるスワップポイントを証拠金にして追加でポジションを買い増す戦略は、相場が横ばいであれば資産を爆発的に増やす魔法のように思えます。しかし、一度トレンドが急落に傾けば、雪だるま式に膨らんだポジションがそのまま破滅的な含み損の増大装置と化します。急激なボラティリティに耐えきれなくなった口座は、最終防衛ラインである証拠金維持率を割り込み、一瞬の強制ロスカットによって全財産を消滅させる結末を迎えるのです。