園内の高台に歩みを進めると、突如として視界を圧迫する深紅の巨像。これが常陸風土記の丘のシンボルである「日本一の巨大獅子頭」です。台座を含めた全高は14メートル、頭部だけでも高さ9.6メートル、幅8メートル、奥行き9メートルという規格外のスケールを誇ります。初めて対面した来園者の多くが息を呑み、思わず立ち尽くすほどの威圧感を放っています。
この異形のモニュメントが誕生した背景には、石岡市が誇る歴史的誇りと伝統神事の継承があります。石岡市中心部で毎年9月に斎行される「常陸國總社宮例大祭(通称:石岡のおまつり)」は、関東三大祭りの一つに数えられる大祭です。この祭礼の主役を務めるのが、巨大な獅子頭を台車に乗せて練り歩く「幌獅子(ほろじし)」であり、石岡の町衆にとって獅子は悪霊を祓い、火難や疫病を防ぐ神聖な守護の象徴にほかなりません。
1990年代初頭のふるさと創生期、古代常陸国の国府として栄えた石岡の精神的支柱を形にし、次代へ文化を伝える記念碑としてこの巨像が設計されました。単なる張り子のオブジェではなく、頑強な建築物として構築されており、獅子の体内は展望台階段へと通じています。大きく開かれた口元からは、園内の芝生広場や四季折々の自然を一望できるパノラマ構造が採用され、訪れる人々を温かく見守る展望拠点として親しまれています。