近年のゴルフ界では、ブライソン・デシャンボーを筆頭とする「ワンプレーン/シングルプレーン」打法のツアー席巻を契機に、スイングの再現性を極限まで高める物理アプローチが定着しました。その原点として、カナダが生んだ孤高の天才モー・ノーマンのアーカイブ映像やスイングデータが、YouTubeや各種SNSで数百万回単位の再生を記録し、国内外で新たなムーブメントを引き起こしています。
米国のスイング解析ラボ「Graves Golf Academy」が蓄積した3次元モーションキャプチャデータによると、ノーマンのインパクト時におけるフェース角のブレはわずか0.5度以内という驚異的な数値を叩き出していたことが裏付けられています。一般的なプロゴルファーでも1度から2度程度のフェースローテーションが生じるなか、ノーマンは体の回転とフェースの向きを同調させ、ボールを線で捕らえる独自構造を完成させていました。
クラブヘッドの大型化や低スピン化が進んだ現代ギアの恩恵を最大限に引き出す設計思想が、奇しくも1960年代にノーマンが手作業で磨き上げたスタイルと完全に一致していたという事実は、ゴルフ界における極めて興味深いパラドックスといえます。