鼻水が透明のまま粘り気を帯びる背景には、鼻腔粘膜におけるムチン(粘液糖タンパク質)の分泌増加と局所的な水分不足が深く関わっています。通常、鼻腔内では1日に約1リットルもの鼻分泌物が作られており、その大半は粘膜を湿らせ吸気を加湿・加温するために無自覚のまま消費されます。しかし、何らかの異変によって成分バランスが崩れると、性状が大きく変化します。
代表的な要因としてまず挙げられるのが、風邪(ウイルス性上気道感染症)の経過に伴う変化です。感染初期の身体はウイルスを体外へ洗い流そうとするため、サラサラとした水様性の鼻水を大量に分泌します。その後、白血球などの免疫細胞がウイルスと戦い始める段階、あるいは炎症が収束に向かう治りかけのタイミングになると、粘膜の修復プロセスに伴って分泌液のタンパク質濃度が高まり、糸を引くような粘性を帯びるようになります。
一方で、発熱や喉の痛みを伴わないにもかかわらず粘り気がある場合、アレルギー性鼻炎の慢性化が疑われます。一般に花粉症などのアレルギー反応では水のような鼻水が出ると認識されがちですが、抗原に長期間さらされて粘膜浮腫(むくみ)が続くと、粘液腺の活動が活発化して粘り気のある分泌物へと変化します。また、冷たい外気や自律神経の乱れによって生じる血管運動性鼻炎でも、同様の粘調な鼻水が確認されることがあります。