限られた時間で歴博の醍醐味を味わい尽くすには、各展示室の特性を把握した上での優先順位付けが欠かせません。数ある見どころの中でも、来館者が息を呑む決定的なハイライトを厳選して紹介します。
まず外せないのが常設展示第1展示室です。2019年のリニューアルを経てさらに説得力を増したこの空間では、旧石器・縄文・弥生・古墳・古代の歴史がダイナミックに描かれます。特に炭素14年代測定法を用いた弥生時代の開始年代をめぐる学説の提示や、縄文土器の精緻な編年展示、実物大で再現された縄文時代の居住環境は圧巻の迫力です。支配者の視点だけでなく、当時の民衆がどのような道具を使い、どのような自然環境と向き合っていたのかが肌感覚で理解できます。
中世を扱う第2展示室では荘園の仕組みや都市の成立、近世の第3展示室では江戸の町並みや街道文化が立体的に展開されます。そして多くの来館者から熱狂的な支持を集めるのが第4展示室(民俗)です。日本各地の民間信仰、年中行事、妖怪・怪異の造形、庶民の暮らしの移り変わりなど、文化人類学・民俗学の粋を集めた展示が並びます。おどろおどろしくも愛嬌のある神仏像や祭り屋台の模型は、世代を問わず強い好奇心を刺激します。
さらに第5展示室(近代)、第6展示室(現代)では、明治維新から戦争、高度経済成長期を経て現代に至る激動の社会構造の変化を克明に記録。体験型のジオラマや当時の生活家電、宣伝ポスターなどが並び、自らのルーツや記憶と直結する生々しい歴史体験を提供しています。