衣類の繊維に入り込んだ顔料を物理的・化学的に引き剥がすための、絵の具別の具体的な手順を解説します。
1. 水彩絵の具の染み抜き:簡単3ステップと「でんぷんのり裏ワザ」
学童用の水彩絵の具は水溶性のアラビアゴムで練られているため、顔料を吸着して浮き上がらせるアプローチが極めて有効です。
【基本手順】
まず水で汚れの表面を流した後、弱アルカリ性の固形石鹸(ウタマロ石鹸など)を塗り込み、歯ブラシの背や指の腹で繊維の目を広げるように優しく揉み出します。水ですすいだ後、通常の洗濯を行います。
【頑固な残色に効く「でんぷんのり」裏ワザ】
繊維の奥に顔料が染み込んで残ってしまった場合、文房具のでんぷんのり(ヤマト糊など)をシミ部分に厚く塗り込みます。のりの粘着成分とでんぷん粒子が乾燥しながら顔料を絡め取るため、半乾きの状態でぬるま湯ですすぐと、驚くほどきれいに顔料が剥離します。
2. アクリル絵の具の落とし方:消毒用エタノールとクレンジングオイル
アクリル絵の具は水分が蒸発するとアクリル樹脂がプラスチック状の耐水皮膜を形成するため、水や洗剤だけでは一切溶けません。樹脂を再溶解させる有機溶剤が必要です。
【消毒用エタノールを使う手順】
衣類の裏に当て布(不要なタオルやキッチンペーパー)を敷き、濃度70〜80%程度の消毒用エタノールを汚れ部分にたっぷり染み込ませます。歯ブラシで上からトントンと叩き、浮き出たアクリル樹脂を下の当て布に移していきます。擦ると汚れが周囲に広がるため、必ず「叩き出し」に徹してください。
【クレンジングオイルの活用】
油分となじみやすい性質を利用し、メイク落とし用のクレンジングオイルを乾いた状態のシミに直接馴染ませ、指先で優しくほぐす方法も有効です。顔料が浮いたら少量のぬるま湯で乳化させ、台所用中性洗剤で油分を洗い流します。
3. 油絵の具の服の洗い方:乾性油を溶かす油分アプローチ
油絵の具は空気に触れて酸化重合することで硬化します。完全にカチカチになる前であれば、画材用のテレピン油(ターペンタイン)やペトロール、またはクレンジングオイルを塗り込んで油分を緩めます。浮き上がった顔料を拭き取った後、食器用洗剤で油膜を完全に分解して洗い流します。