テレビでの活躍にとどまらず、日本映画界においても加藤さんは唯一無二の輝きを放った。中でも1974年に公開された映画『砂の器』における天才作曲家・和賀英良役は、彼のキャリアにおける最大のハマリ役の一つとして名高い。
宿命に翻弄され、過去を隠しながら生きる男の情念と悲哀を、言葉少なに目と佇まいで表現した演技は観客の胸を強く打った。宿命の旋律が響き渡るクライマックスシーンは、日本映画の歴史における金字塔として、現在も高く評価されている。凛とした正義漢から陰のある複雑な人物まで演じ分ける表現力の幅広さは、映画監督たちからも絶大な信頼を寄せられていた。