新嘗祭は、一般に「にいなめさい」または「にいなめのまつり」「しんじょうさい」と読まれます。「新」は新穀(その年に収穫された米などの穀物)を、「嘗」は味見する・神に供えて共に食べることを意味します。その起源は古く、『日本書紀』の神代巻に見られる「天照大御神(あまてらすおおみかみ)が新嘗を行った」という神話にまで遡り、皇極天皇の時代(642年)には国家的な祭儀として制度化されたと記録されています。
この儀礼の本質は、天皇陛下がその年の収穫を神々に感謝し、自らも神託を受けながら同じ新穀を口にする「神人共食(しんじんきょうしょく)」にあります。単に農作物の実りを祝うだけでなく、神々と国家元首が一体となり、国土の平安と国民の繁栄を祈願する霊的な儀式としての重みを持っていました。
よく混同される概念として「大嘗祭(だいじょうさい)」が存在します。大嘗祭と新嘗祭の違いは、執り行われるタイミングと規模にあります。
- 新嘗祭:歴代天皇が毎年の秋(11月23日)に生涯を通じて執り行う定例の祭祀。
- 大嘗祭:天皇が即位した後に初めて迎える一度きりの新嘗祭であり、大規模な大嘗宮を特設して挙行される皇位継承に伴う一代一度の秘儀。
明治時代に入ると、1873年(明治6年)の太陽暦導入に伴い、旧暦11月の「中(なか)の卯(う)の日」に行われていた祭儀が11月23日へと固定され、国家の最重要祝祭日(大祭日)として国民全体で祝われる体制が整えられました。