インターネットの検索窓に「大分 神社」と打ち込むと、サジェストに浮上するのが「薦神社 三角池 噂の真相」という不穏なフレーズです。「決して池を覗き込んではいけない」「霊障が起きる」といった怪談めいた書き込みが一部で見られますが、こうしたオカルト情報の真偽はどうなのでしょうか。
現地での綿密な調査および神社関係者への取材から導き出された結論は、「神道における厳格な禁足地信仰が、現代のネット文化で歪められて伝播したもの」です。
中津市に鎮座する薦神社(大貞八幡宮)は、宇佐神宮の御神体である「御枕(みまくら)」を作るための真薦(まこも)を採取する重要な神事の舞台です。そして社殿の背後に広がる「三角池(みすみいけ)」こそが、池そのものを神体とする内宮にあたります。
古来、三角池は人の立ち入りを厳格に制限された神聖不可侵の領域であり、軽々しい態度で水辺に近づくことは厳に慎まれてきました。神職でさえ特定の神事の際しか立ち入ることが許されないほどの聖域であったため、畏怖の念が民間伝承として語り継がれ、それが現代のネット空間で「呪い」や「恐怖のパワースポット」という扇情的な噂に変貌してしまったのです。
三角池は決して恐ろしい場所ではなく、自然そのものを神として崇めてきた古代日本人の敬虔な心が結晶化した空間です。ただし、立ち入り禁止区域に無断で侵入したり、ドローンを飛ばして池を撮影したりする行為は厳重に禁止されています。禁足地の境界を守り、静寂の中で手を合わせることこそが、この聖域に対する正しい向き合い方です。