山田全自動の経歴を語る上で欠かせないのが、デジタル領域における確固たるキャリアです。大学卒業後、独学でデザインやプログラミングを習得した同氏は、福岡市内で個人事務所を立ち上げ、ウェブデザイナーとして数多くのクライアントワークに従事してきました。単なる感覚派の絵師ではなく、UI/UXや情報設計、読者の視線誘導といったWebマーケティングの基礎を骨の髄まで理解している職人肌の人物です。
転機となったのは、2012年頃に開設した個人ブログ「Y氏は暇人」でした。福岡の知られざる近代建築、昭和の面影を残すレトロ看板、街道の歴史的痕跡などを自ら歩いて調査・記録するこの街歩きブログは、圧倒的な情報量と独自の着眼点でコアなファンを獲得。月間数十万PVを記録する人気地域メディアへと成長しました。
この「Y氏は暇人」の挿絵として、もともと趣味で描いていた浮世絵風のイラストに、日頃感じていた些細な違和感を五・七・五調の言葉とともに添えたところ、読者から熱狂的な反応が寄せられました。手応えを得た同氏は2016年、Instagramに特化したアカウント「山田全自動」を開設。日常の気まずい瞬間を江戸時代の町人に代弁させる浮世絵あるあるシリーズを本格始動させると、わずか数ヶ月で数万人のフォロワーを獲得する大旋風を巻き起こしました。