幕末維新を駆け抜けた志士たちの生き様は、今なお多くの人々を惹きつけてやまない。幕末志士経歴まとめにおいて最大のスターである坂本龍馬だが、彼を巡る神話も新たな検証が進んでいる。
薩長同盟の立役者として知られる龍馬は、一介の脱藩浪士でありながら、日本初の商社とも称される亀山社中(のちの海援隊)を率いて武器や兵糧の輸送を手がけた実践的なビジネスマンでもあった。姉の乙女に宛てた手紙には、妻・お龍との日本初の新婚旅行の様子や、日々の愚痴が軽妙な筆致で綴られており、心温まる日本史偉人エピソードとして親しまれている。
そして最大の謎である坂本龍馬暗殺の真相(近江屋事件)については、長年囁かれた薩摩藩黒幕説や新選組犯行説を退け、京都見廻組の佐々木只三郎らによる公務執行(幕府側による治安維持活動)であったとする説が史料学的に決定打となっている。幕府崩壊の激動期において、時代の先を走りすぎた才人は、体制側の法執行の刃に倒れたのが過酷な現実であった。