青森県住宅供給公社巨額横領事件の幕開けは、1993年に青森市内の飲食店で千田郁司が興行ビザで来日していたアニータ・アルバラードと出会ったことに遡ります。当時、地味で真面目な経理担当者と見られていた千田は、アニータに急速に傾倒していきました。
1995年頃から千田は公社の小切手を不正に振り出す手口で横領を開始。当初は遊興費や貴金属の購入に充てられていた資金は、1997年にアニータと結婚したことで歯止めが利かなくなります。アニータがチリへ帰国した後も、彼女の歓心を買うため、千田は公社の銀行口座から億単位の資金を次々と海外送金し続けました。
横領の手口は、自らが経理担当であることを悪用し、伝票の改ざんや残高証明書の偽造を繰り返すという極めて短絡的なものでした。しかし、公社内部のずさんな管理体制と監査の形骸化が災いし、実に約8年間・総額14億4600万円に達するまで不正が発覚することはありませんでした。
2001年秋、公社の組織改編に伴う口座確認作業の中で巨額の使途不明金が明るみに出ます。追い詰められた千田は自首し、業務上横領容疑で逮捕。南米チリに送金された公金の存在と、現地で大富豪のような生活を送る外国人妻の存在が報じられると、日本中が蜂の巣をつついたような大騒動へと発展しました。