SNSや口コミサイトでは「歴史があって静かで落ち着く」「自然豊かで子育てに良い」という好意的な評価が並ぶ一方、「車がないと生活が成立しない」「冬場の寒さが厳しい」といった切実な声も散見されます。実態を深掘りすべく現地で聞き取りを行うと、外部からは見えにくいリアルな生活像が浮かび上がってきました。
肯定的な声として目立つのは、コミュニティの適度な距離感と豊かな食環境です。都内からUターンした30代男性は次のように語ります。
「農家の方から採れたての野菜をお裾分けしていただく機会が多く、食卓の豊かさは都会時代と比べ物になりません。歴史ある町並みを朝散歩するだけでも精神的なゆとりが生まれます。村八分のような閉鎖性を心配していましたが、移住支援窓口の丁寧な橋渡しもあり、適度な挨拶と地域の共同作業に参加していれば過度な干渉を受けることはありません」
一方で、デメリットとして全員が口を揃えるのが「交通インフラの選択肢の少なさ」です。町内にJRの鉄道路線が存在しないため、高校生の通学にはJR東北本線の大河原駅までの送迎か、路線バス・自転車の利用が不可欠となります。大雪の日数は宮城の内陸部としては比較的穏やかな部類に入るものの、放射冷却による朝晩の凍結路面への警戒は必須であり、スタッドレスタイヤの装着とマイカー2台持ちは世帯の基本要件となっています。