ドラマの世界観を決定づけた主題歌『Løve Rainbow』ですが、ファンや音楽リスナーの間で長年議論されてきたのが、タイトルの「Love」に含まれる「ø」(ストローク付きO)という特殊な文字表記と、歌詞の意味と真相です。
デンマーク語やノルウェー語などで用いられるこの「ø」は、数学や言語学において「空集合(ゼロ・何もない状態)」を示す記号と形状が似ています。ここから転じて、音楽誌のレビューやファンの考察では「親の七光りや過去の悲しみを一度リセットし、ゼロ(ø)から二人で七色の虹(Rainbow)を描いていく」というドラマのテーマと見事にリンクしている点が指摘されてきました。また、全10話のドラマサブタイトルにはすべて「色」に関する言葉(第1話「イナズマの恋、始まる」のティザーカラー演出から、各話の感情を表す色彩表現)が織り込まれており、7つの色が重なり合って初めて現れる「虹」は、不完全な大人たちが寄り添う象徴として機能しています。
歌ネットやUtaTenなどの歌詞データベースでも常に高い検索数を誇る歌い出しのフレーズ、「風の通る坂道 木漏れ日の階段に 想い出を刻んで 全て君にする」は、江ノ島や鎌倉・湘南エリアのロケ地を想起させる視覚的な描写から始まります。特筆すべきは、サビで繰り返される「七色のフレーズ」「混ざり合う色」という表現です。大雅が持つ「青く未熟な情熱」と、詩織が抱える「過去への哀愁と母性の温もり」が、互いを否定することなく混ざり合い、新しい愛の形へと昇華していく過程が、嵐の5人の透明感あふれるユニゾンによって表現されています。
さらに、このドラマの音楽的完成度を語る上で絶対に外せないのが、挿入歌とサウンドトラックの緻密な設計です。シンガーソングライター・YUIさんによる挿入歌『Please Stay With Me』は、詩織が娘の海を寝かしつけた後に一人で涙を流すシーンや、大雅への想いを封印しようとする切ない場面で効果的に流されました。延近輝之氏が手掛けた劇伴サウンドトラックの繊細なピアノ旋律から『Please Stay With Me』で感情の底まで沈み込み、クライマックスで嵐の『Løve Rainbow』がイントロから一気に視界を切り拓く――この「陰と陽」「静と動」の音楽的コントラストこそが、視聴者の涙腺と高揚感を同時に揺さぶる最大の装置となっていたのです。