時計の針を巻き戻すと、過酷な運命の引き金が引かれたのは2021年8月17日でした。朝の入浴中に異変を感じ、自ら異変を察知して救急搬送された西川医師。診断は「右脳内出血」、約5時間に及ぶ緊急開頭手術を受けました。一時は左半身麻痺が残り、医師としての生命はもちろん、日常生活の自立すら危ぶまれる危機的状況でした。
しかし、彼女の執念は凄まじいものでした。同年12月に退院するまでの約4か月間、理学療法・作業療法の現場で過酷なリハビリを実践。自著や手記、退院後の特別インタビューで語られた「ペットボトルのキャップすら開けられない悔しさ」「足が一歩も前に出ない絶望感」は、医療者として人体の構造を知り尽くしているからこその深い苦悩でした。
その後、2022年春には聖マリアンナ医科大学大学院の博士課程へ進学。脳血管障害の後遺症リハビリを自らの研究テーマに据え、2023年にはさらなる機能改善のための追出手術を経験しながらも、歩行機能や微細運動の回復に励み続けました。公式SNSで時折公開されるリハビリの様子は、同じ病に苦しむ当事者たちにとってかけがえのない希望の灯火となっています。